認知症の親との接し方:
症状別に試してわかったこと【体験談】
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📋 このページの内容
最初にぶつかった「壁」
頭でわかっていても、毎日続くとどうしても限界が来る
父が認知症と診断されたとき、「まあなんとかなるだろう」と正直なめていました。ところが実際に一緒に暮らし始めると、想像とはまったく違う日々が待っていました。
「さっき食べたでしょ」と言っても「食べてない」と言い張る。財布が見当たらないと「盗まれた」と言い出す。夜中の2時に「出かけなきゃ」と起き上がってくる。
頭では「認知症だから仕方ない」とわかっているんです。でも毎日毎日続くと、気づいたら声を荒げていました。そして後悔する。その繰り返しでした。
認知症の父(中等症)と要介護5の母を自宅で介護しています。この記事に書いたことはすべて実際に経験したことです。「正解」ではなく「うちの父にはこれが効いた」という話として読んでください。
やってしまいがちなNG対応
全部、私がやってしまったことです
接し方を学ぶ前に、まず「やりがちだけど逆効果なこと」を整理しておきます。
認知症の人は直前のことが記憶に残りません。本人の中では「初めて言っている」のです。訂正されると混乱し、傷つき、怒りや不安につながります。
正論で説得しようとしても、本人の感情的な混乱が増すだけです。論理で認知症の症状は解決できません。
本人は「わかりたくてもわからない」状態です。責められていると感じると、より興奮したり、無気力になったりします。
同じことを何度も聞いてくる
「今日は何日?」「ごはんはまだ?」が1日に何十回も
「今日は何日?」「ごはんはまだ?」「〇〇はどこに行った?」——同じ質問が1日に何十回もくることがあります。
慣れてくると自然にできるようになりますが、最初はかなり意識が必要でした。「またか…」という気持ちが顔や声に出ると、父は敏感に察知して不安そうになります。表情と声のトーンを意識するだけでも、反応がかなり変わりました。
「今日は何日?何曜日?」という質問には、大きな文字のカレンダーや日付表示付きの時計が助けになります。「あそこのカレンダーを見て」と言えるようになって、質問の回数が少し減りました。
最初は「また聞いてる…」と顔に出てしまっていました。父がそれを察してか、何か悪いことをしたような表情になるんですよね。それを見て、自分のほうが反省しました。
「盗まれた」と言う(物盗られ妄想)
家族が疑われることも。個人的に一番つらかった症状です
財布や通帳が見当たらないと「誰かに盗まれた」と言い出し、介護している私が疑われることもありました。認知症の症状のなかで、個人的に一番つらかったのがこれです。
感情的に否定すると、父はさらに確信を深めてしまいました。「私が怒るのは後ろめたいからだ」と思われてしまうんです。
「それは大変だね、一緒に探そう」と言って、一緒に探すのが一番落ち着く方法でした。見つかったときは「よかった!」と一緒に喜ぶ。これを繰り返すうちに、父も「見つかる」という経験が積み重なって少し落ち着いてきました。
財布や通帳の置き場所を決めて、なくなったときに「ここにありますよ」と言えるように準備しておくと、探す手間も父の混乱も減りました。
「お前が盗った」と言われたときは正直ショックでした。でもケアマネさんに「あるあるです、本人も混乱しているだけで悪意はない」と言われて少し楽になりました。
夜中に起き出す・夜間せん妄
「仕事に行かなきゃ」——深夜に父の中では別の時代が動いている
深夜に「仕事に行かなきゃ」「子どもが帰ってこない」と起き出してくることがありました。父はとっくに定年退職していますし、子ども(私)は目の前にいるのですが、父の中では全然別の時代にいるようでした。
「もう仕事は終わったでしょ」と現実に引き戻そうとすると余計に混乱します。「今日はもう終わったよ、明日でいいよ」「子どもはもう帰ってきてるよ、大丈夫」と、父が安心できる答えを返すようにしています。
ケアマネに相談したところ、「昼間に活動できていると夜の睡眠が安定しやすい」と教えてもらいました。デイサービスを利用し始めてから、夜中に起き出す頻度が少し減った気がしています。
怒りっぽくなった・暴言
穏やかだった親が急に怒鳴るようになる——認知症の「易怒性」
穏やかだった父が急に怒鳴るようになったときはショックでした。認知症による感情のコントロール障害(易怒性)で起こることだとわかってはいても、毎日のことになるとこちらも消耗します。
介護士さんにも言われましたが、「その場から離れることは逃げではない」そうです。怒りの感情は数分でピークを過ぎることが多いので、台所に行くなど少し離れて、落ち着いてから戻るようにしています。
父の場合、お腹が空いているとき・疲れているとき・急かされたときに怒りやすいとわかりました。それらを避けるだけで、頻度がかなり下がりました。
「急かす」が引き金だとわかってからは、着替えや食事の時間を少し長めにとるようにしました。自分がイライラしているときに急かしてしまうことが多かったので、自分のペースを整えることも大事だと気づきました。
それでも怒ってしまったとき
自分を責めすぎないことも、介護を続けるために必要なこと
上に書いてきたことを全部わかっていても、怒鳴ってしまうことはあります。私も何度もありました。
そのたびに「最低だ」「介護に向いていない」と自分を責めていたのですが、ケアマネに話したら「みんなそうですよ」と言ってもらえて、少し楽になりました。
一人で抱え込まず、ケアマネや地域の介護相談窓口に話してみることをおすすめします。「こんなこと話していいのか」と思わなくて大丈夫です。そのための相談窓口です。
ケアマネさんへの相談は、制度や手続きだけじゃなく「今日こんなことがあって…」という話も聞いてくれます。専門家に「みんなそうですよ」と言ってもらえるだけで、すごく救われることがあります。
まとめ:症状別の接し方一覧
「否定しない・感情に乗らない・一人で抱え込まない」が共通のベース
| 症状 | 避けたいこと | 効果があったこと |
|---|---|---|
| 同じことを何度も聞く | 「さっきも言ったでしょ」と訂正する | 毎回「初めて」のように答える。カレンダー・時計を活用 |
| 物盗られ妄想 | 「盗んでいない」と反論する | 共感して一緒に探す。置き場所を固定する |
| 夜間せん妄 | 「違う」と現実に引き戻す | その世界に寄り添う。昼間の活動量を増やす |
| 暴言・易怒性 | 感情的に言い返す | その場を離れる。「引き金」となる状況を避ける |
認知症の介護に「完璧な方法」はないと思っています。同じ人でも、日によって、体調によって反応が変わります。ただ、「否定しない」「感情に乗らない」「一人で抱え込まない」この3つは、どんな症状にも共通して効果がありました。
介護をしながら毎日を過ごしているあなたに、この記事が少しでも役に立てば嬉しいです。